謝るな+感謝するな!

近年、生徒の言動で違和感を覚えることは多いのですが、

中でも特にそれを感じるのは、

「すみません」という言葉を聞いたときです。




悪いことをしたら、謝る。

それは普通のこと、当然のことであり、

しっかりしていると評価して良いでしょう。



ですが。

謝るべきなのは、「悪いこと」をした場合。


例えば、遅刻をした時。

例えば、塾で騒いだ時。



そういう時に謝るのは、もちろん正しいことです。



ですが、彼らは、謝るのです。


計算ミスをした時。

悪い点を取った時。

果てには、受験で失敗した時。




強い違和感を覚えます。


何故なら。


遅刻をした時は、

そのせいで授業のペースが崩れた。

騒いだ時も、

そのせいで、教師の声が聞き取れなくなった。



それらによって、他人に迷惑をかけた、

他人に損害を与えた。

そういう時には謝るべきなのですが。





ミスをした。悪い点を取った。

受験に失敗した。



それらは、塾の講師に何か迷惑をかけたのか?

塾が何か損をしたのか?



もちろん、違います。



いや、これがまあ、

「良いテスト結果や、合格実績を出して塾の宣伝材料にするために、

授業料を無料にしていたり、受験代を負担していた」

などという場合であれば、分からなくもないのですが。



それでも。

迷惑がかかった、損をした、

その最大の被害者は、紛れもなく、

生徒本人です。





塾は損などしていない。

まともな指導をしていれば、

良い点を取れたり、合格していたりしたかもしれないのに、

それが出来なかったという意味で、

下手をすれば、

加害者側の人間なのかもしれません。



と、いうことは。

テストや受験に失敗した生徒が、塾に謝るというのは、

ある意味、

被害者が、加害者に向かって謝罪しているようなもの。




違和感があるのは、当たり前でしょう。




なのに。

何故、生徒は謝るのか。




もちろんこれは、深い考えに基づいたものではなく、

ただ、反射的なものであり。

「失敗した」=「悪いことをした」=「謝らなきゃ」

という構図の上での言動でしか、ないでしょうが。





それでも、その奥底に、見えてしまうのです。


子供達が、

「勉強は自分でするもの」ということを理解していない、

ということが。



もっと言えば、

「自分の人生を生きていない」ということも。





勉強は、他人に言われたからやるもの。

合格は、他人を喜ばせるためにやるもの。





深いところで、そう考えているからこそ。


テストや受験で失敗することを、

「他人の指示」「他人の期待」に応えられなかったことだと感じ、

その他人に向かって、謝罪する。





そういう、

「自分」という主体のない、

ある意味、「無責任」とも言える、

奥深くの構図が、見えてくるのです。




だからこそ。

それとは全く逆にケース。



テストでよい点を取った時に、

合格した時に、

「先生のお陰です」と言ってくる生徒たち。



彼らにも、私は、違和感を覚えざるを得ないのです。




自分が頑張ったから、

家庭が頑張ったから、合格した。

こちらは、お金の分だけ仕事しただけ。

それだけなのに、礼を言われるのは、面映ゆい。



まあただ、こちらに関しては、

「嬉しい気持ちをお裾分けする」

「思い上がらないよう、謙虚であろうとする」

「感謝の気持ちを忘れない」

という意味合いも含まれているでしょうから、

良い部分があると思います。


ですが、これは「気遣い」「気配り」でしかないものであるべき。


本心から言っていてはいけません。


他人のお陰で成功することなんて、

絶対にないのです。


他人のせいで失敗することも、

絶対にないのと同様に。








勉強は、自分がしたいからするものです。

合格は、自分がしたいからするものです。



その失敗は全部自分の責任であり、

だからこそ、その功績は全部自分のお陰なのです。





他人に謝罪をする必要も、

他人に(本心から)お礼を言う必要もありません。



失敗したら、自分自身を恥じ、悔やみましょう。

成功したら、自分自身を誇りましょう。



自分の人生なのです。









ちなみに。

かつて、灘高に合格した生徒の母親から言われた言葉です。



「合格できたのは、うちの子が頑張ったからだと思う。

でも、先生は、

勉強が楽しいこと、灘高が素晴らしいことを伝えて、

その『頑張るきっかけ』をくれた。

そこには本当に感謝している」



これこそが、私にとって、

今までいただいた言葉の中で、もっと有難いものです。










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